#9 オデッセイ(吹替)
フィクションでありながら、科学的考察に基づくリアリティある映画は、
最後には確かな感動をくれるでしょう。
火星に1人取り残された宇宙飛行士の、その生還までを描いた物語。
1人取り残される、と聞くと精神的な孤独を如何に克服するか、みたいな話かと想像が働きますが、実際にこの映画の驚嘆すべきところは科学的考察です。
農作を至るまでの水の作り方、火星移動車のローバー内での熱の取り方。
その方法はフィクションであるため、現実に裏付けされたものではありませんが、信頼感があり、観ていて納得とリアリティを与えてくれます。
専門的な科学者たちへの周到な調査は、こんなことが出来たら面白いのではないか、と想像に翼を与え、物語を愉快に希望に満ちた物語へと変えてくれます。
1人取り残され悲観するばかりではなく、生きていこうとする意思。それを実行するための知恵。
現実はこんな甘くないと、偏屈な頭の固い人種は観てはいけない映画ですね。
ああ、こんなことが出来るんだ。想像したけどやってみたらどうなるんだろう。
そんなワクワクとした気持ちを持って、やってみたいと思わせてくれるような希望を与えてくれる映画だと思います。
そして、そんなワクワクは夢物語ではなく、ちゃんとした科学的考察に裏付けされている。大事なのは考えること。出来ないと決めつけるではなく、出来るようにするためにどうするかを考えること。
日本人が一番苦手な思考回路ですけどね笑
そして、吹替に依る所が大きいのですが、おそらく原作でもその通りなのでしょう。
明るいです。
本当であれば悲観して、自殺してもいいような状況。それでも主人公は前を向く。
そんな前向きな映画だから、人が希望を持ち憧れる。小学生くらいのお子さんに観てほしいですね。こんなことが宇宙で出来るんだと、宇宙は怖い所ばかりでなく、希望と未来に溢れた場所なんだと思って欲しいです。
ラストも文句無しの感動でした。泣きそうになりました。
誰もが諦めない、誰もが見捨てない。馬鹿げた考えでも、ちゃんと考察された理論であるならばそれは認められる。この映画では、そんな考えを握りつぶそうとしたり、摘み弾く考えこそが邪道です。
挑戦してほしい。
そして、その挑戦するために考えて欲しい。達成するのだと強い意志を持ち、そのために行動して欲しい。
そんな意思を、この映画からは感じました。
蛇足
ゼログラヴィティやキャスト・アウェイのような孤独を題材とした映画とは異なりましたね。同じ遭難物でも、ここまで描き方に差をつけることが出来るのかと勉強になる作品です。
夏の自由研究に宇宙物をやりたくなる、科学博物館に今、無性に行きたくなりました。