Fool on the planet

日記とか趣味、見た映画の感想置き場

#8 シン・ゴジラ(邦画)

 

 

 良く、ここまでリアルな世界にゴジラを落とし込むことが出来たな、と観終わった今ではそんな感想を抱いてしまいます。

 

 

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 今までのゴジラの設定とはガラリと違います。

その設定、シーンの魅せ方、定番ともいえる印象に残る音楽、作りこまれたディティールは不思議と複数回観たくなる魅力があります。

 

 

 

 ゴジラ映画ですが、この映画の特徴はその他の演出にあります。

 まず、政治家を主役に置いていること。今までのゴジラ映画は全て、学者や軍人が主役です。政治家を主役としたことで、国としてのゴジラ発見から対策を講じるまでの過程、ゴジラが映っていないシーンでのシナリオ展開に厚みが出たと思います。

 単純にその展開が面白い。この国のトップ陣営がゴジラに翻弄され、それでも具体的対策を出そうと、一致団結して挑んでいく。そんな人たちの行動が一層、ゴジラの強さと不気味さを際立たせることに成功しています。

 

 

 

 次に早尺の喋り方。間延びしやすい解説シーンもこの手法のおかげでスタイリッシュに場面転換が出来ます。喋り方が速くなることで映像の切り替えもそれに合わせて高速化。映画の重要シーンに尺を割く余裕も産み、観ていて飽きない、期待値を高める手法でした。

 また、キャストの人たちの頭もよく見えるんですよね。スパスパと行動する頭の回転が速い人のように観えました。

 

 

 

 そしてなにより、日本の物語なのだな、ということですかね。

 日本を語る中で外すことが出来ないアメリカという存在を重要視しながらも、その存在はほぼ映画内に登場しません。

 何か政治的有事がある度、テレビでも毎日のように私たちはアメリカの外交情報を聞かされますからね。現実として無視できない要素を取り込みリアリティを持たせ、それでいてキャストは日本人で固めて、アメリカという影を印象付けながら日本人が戦っていくのはとてもかっこよかったです。

 

 

 

 

 さて、肝心のゴジラです。

 

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 不気味でいて、カッコいい、お気に入りのシーンです。

夜でありながらゴジラの体表や口を光らせ、不気味で神秘的にすら表現されています。

ゴジラを印象付ける体表の演出はかなり凝っています。暗闇に光る背びれ、日中に浮かびあがる赤い紋様、不気味で幻想的に見せる技術は感嘆するほどに好きです。

 ぜひ皆さんも、一回目は何も考えずに観て楽しんで、二回目はそういった光の演出にも注目してください。綺麗だなと、かなり怖い部類のシン・ゴジラにも形容しがたい神秘性を感じることが出来ると思います。まさに、GOD.ZILA、神といわれるような存在です。

 

 

 

 鉄道爆弾やポンプ車など、現実にある物を活かした戦い方もこの映画の良さだと思います。政治家の時間を無駄にする議論も、責任逃れの押し付けいも、経済的損失と復興への計算も、リアルの日本を描いています。突拍子もない存在はゴジラだけ。ゴジラ以外は全てリアルです。

 

 キャッチコピーの現実VS虚構という意味が、今なら分かります。

 

 ゴジラがいるというif、ゴジラを受け入れるための限りなくリアルな世界を作りあげたディティールが、この映画の最大の魅力だったのです。

 

 

 

 

 蛇足

 

 実はこの映画、音楽もいい。ゴジラファンには聞き馴染みのテーマ曲もちゃんと入れてる。流れれば、思わずニヤリともしちゃう嬉しさがある。

 あと、なんでか、普段ゴジラ見ない人も見てたイメージがある映画。なんでこの映画だけ?という謎感は拭えない。私の周りだけ、やけにそういう感じだったのかな・・・。まあ、JRに勤めてる友人が、職場(東京駅)が破壊されるのを観てくるって言った時は笑いましたからね。そういうノリの人が多く、観たのかな?