Fool on the planet

日記とか趣味、見た映画の感想置き場

#18 ファイト・クラブ(吹替)

 
 
支配の破壊
 
 

 

「我々は消費者だ。ライフスタイルに仕える奴隷。殺人も犯罪も貧困も誰も気にしない。それよりアイドル、テレビ、ダイエット、毛生え薬、インポ薬にガーデニング…。何がガーデニングだ!

 
 我々は無意識のうちに、今まで生きて見聞きしたものに影響を受けている。映画のセリフを借りれば、
『テレビで育てられ、いつの日か大金持ちか、映画スターか、ロックスターになれると信じてる』
 
 そんな漠然とした価値観で、苦労して手に入れたブランド物を大切にし、生活は物を守るために執着している。
 
 
 ファイトクラブとは、そんな人生からの脱却。敢えて自分を痛みに置くことで、常識・支配といった既知感を破壊するための場所。
 
 最初は小さな、ほんの数人で始まったクラブ。それがアメリカの州を超え、各地に巨大勢力を築くまでになった。
 勢力の拡大に比例するように、誰にも言わない、秘めた自己破壊は、その場を社会へと移していった。
 
 PCショップ、コンビニ、ブランド店、公園のモニュメント。
 誰かから良いと信じ植え付けられた感性、支配しれて来た物の物理的破壊を行い始めた。
 
 その時になって、主人公は行き過ぎだと声を上げる。
しかし、もう止まらない。組織は、計画『プロジェクト・メイヘム』に則り、主人公の質問にも『ルールその1、何も質問するな』とプログラムされたように返答を返す。
 
 かくて主人公は、欲求と理性とを戦わせることになる―――。
 
 
 

 [総評]


 
 
 スカッとする映画です。思う存分、自分の今の生活を振り返りさせられる。頭を掴んで、無理矢理に直視させられているように。
 
 家賃の為に会社に行き、溜まったストレスを酒で消費し、人より良く見られたいという自己満足のために物を買う。
 冷静に考えれば、この価値観は誰に刷り込まれたんでしょうね。親か、学校か、環境か。
 
 全て捨てることが自由だとは言いません。ただ刷り込まれたような常識を破壊しろとこの映画は訴えかける。
 そんなことは出来ないと下を向くな。胸を張って自由に生きろ。
 
 そんな勢いに溢れた映画です。これもまた、定期的に観たくなる映画。
 数年後、またこの映画を見た時に、その時の自分が何を思うのかが楽しみです。
 
 
 

 [以下 駄文]

 

 

 非常に勢いのある映画です。勢いがあり過ぎるほどに。

 

 日陰育ちの私は、地面から頭を出さなくても、ぬくぬくと地中で穏やかに生活出来ることを望みます。

 自分の価値観を破壊すること、それは地中から芽を出せと言われている。変わることを強いられている。けれど、そんな派手な変化は求めていない。

 

 この映画を見ているタイミング、ちょうど『STEINS;GATE』『.hack』などの平成オタク文化に触れている今。

 いつの間にか、社会に適応するためにオタクであったことを捨て去っている今。

 

 芽を出して戦うことを選べなかった私は、会社の歯車に適応せざるを得なかったわけですが、この映画は眩しいものですね。性格的にも芽を出したがる方ではないですが。

 

 甘えたことを言うなら、地中でぬくぬくと終わらせて欲しいものです。

 ・・・越冬野菜は、甘くなるんですよ?きっと価値が出ますって。